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TN-house

敷地は都内の閑静な住宅地、平坦な敷地に夫婦と母の為の建てたRC造3階建ての2世帯住宅です。外装は杉貫板の型枠を縦に使ったコンクリート打放し仕上げとして彫刻的な力強い印象を作っています。

水墨画の作家である母の作品を飾るエントランスホールを2世帯の共通エリアとして1階に親世帯、2,3階に子世帯を配置しています。親世帯は母の描く水墨画に合わせ、コンクリートの表情を生かした仕上げにしています。子世帯は中央に配置された階段ホールを中心に回遊性のあるプランで構成されています。

敷地面積:157.65平米

建築面積:80.83平米 延床面積:187.17.83平米

構造:鉄筋コンクリート造 階数:3

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ギャラリーのある二世帯住宅

「空間の共有と共通経験」

住宅街に建つ夫婦とその母親のための2世帯住宅である。今回の計画では当初よりふたつの世帯のための住宅という意識は強くもたなかった。だから2世帯の関係を物理的空間(くっつける、離す、くっつけながら離す……)に移し替える操作を検討することはあまりなかった。というのも計画の当初で水墨画を描くことを趣味にしている母の大きな絵を飾る場をエントランスギャラリーとすることで、母の絵を介するコミュニケーションが自然と生まれることが想定されたからである。エントランスギャラリーは両世帯を空間的に共有させることに加え、自然光の印象深い変化を共通して経験する場となる。

「生活とアトリエをオーバーラップさせる」

もともと、この敷地に建っていた家に母は住んでいて、気に入った物をコレクションしてディスプレイし、ダイニングテーブルで絵を描いていた。子世帯と同居するとなると生活エリアは小さくなるので、絵を描くことと生活することをオーバーラップさせることにした。敷地の南西コーナーを三角に開けて建物を配置し、パティオを設えた。奥行のある視線を生み出すパティオとダイニングテーブルを兼ねた大きなデスクを同じ床高さに設定し、高い位置で自然光を受け室内へ明るさを与えながら内外の連続感をつくり出した。

「シーンの展開」

2階においても斜めに切り取られた建物形状から、階段を中心に鋭角に展開する回遊性のあるシークエンスが創出された。LDKには三角の余白より外光が十分に採り込まれ、北側のラウンジホールには西端にトップライト、東端にハイサイドライトを設けることで明るさを獲得した。この空間は時間により光の射し込み方が変化し、白い壁面と白い階段の各面にグラデーショナルに光の色を落としている。北側に配置され裏動線になりがちな階段室とエントランスギャラリーに立体的なかたちと光の表情を与えることで、多様な雰囲気を生み出すと共に世帯間の気配を自然と感じさせる空間をつくり出した。

外観